大東亜共和国という現代日本をモデルにした架空の国のお話です。
中学の1クラスが島に連れ去られて、たった1人生き残るまで殺しあう衝撃作。
この映画が世に出て20年以上たった今でも根強いファンがいます。
私もそんなファンの一人で映画のほかにも原作小説や漫画なども見ていました。
この映画が世に出たとき私はまだ小学生でした。
クラスの友達とバトロワに巻き込まれたらどうする?などとよく話しあったものです。
強い武器があたればクラスメイトを率先して殺しまわるとか、敵の残りが少なくなるまでどこかに隠れていて、疲弊した最後の敵にとどめを刺して生き残るとか..そんな他愛もないことを話し合っていました。
この映画の面白いところは架空の話しながら、リアリティのある設定だからです。
ルールも単純でわかりやすく、逃げられないように爆弾付きの首輪をはめられ、武器でたった1人になるまで生き抜く。
単純ですが救いのない話だからこその魅力的なのでしょう。
人の猜疑心や疑心暗鬼などもうまく表現されています。
例えば劇中には仲良しの女子グループが灯台に立てこもっているのですが、仲間割れが勃発し、殺し合いになった末に全滅してしまうというシーンがあります。
非常事態においては、日常生活での信頼や友情などいともたやすく崩れ落ちてしまうのだということがひしひしと伝わってきました。
私が特に印象に残ったのは杉村という男子生徒の話です。
殺人ゲームの最中杉村は琴弾という女子生徒を探し回ります。
幾人もの敵の攻撃を受け、杉村はボロボロになりつつも遂に琴弾の元へとたどり着きました。
しかし、杉村に殺されると勘違いをした琴弾は杉村のことを銃で撃ってしまいます。
杉村が自分を殺しにきたわけではないと理解した琴弾は杉村に泣いて謝りますが、杉村はこのゲームから生きて出るために主人公の七原たちと合流しろと告げます。
杉村は琴弾のことが好きだったのです。
琴弾の腕の中で杉村は満足げに息絶えるのです。
琴弾はあまりのことに打ちひしがれます。
自分のことを好きでいてくれて、この殺人ゲームの最中必死に自分を探してくれた人を、この手で殺してしまったのです。
なんという無情でしょうか..。
琴弾は激しい後悔に襲われて泣きじゃくりますが、そんな隙をつかれて琴弾は別の敵に撃ち殺されてしまいました。
こうして杉村の決死の努力は何の実も結ばずに潰えてしまったのです。
私はそんな杉村の姿に憐憫を感じながらも、人を信じるというのはとても難しいものだと思いました。
この作品には心惹かれる人物が多数いて、皆それぞれキャラが立っています。
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