これは固定相場制の1つ。
自国通貨と$レートをある程度の範囲で連動させます。
経済的にまだ未熟な国や政情不安定国が自国通貨を安定させるべく$にペッグしてるんですね!
実は日本もかつては1ドル=360円にしてた時期があるって知ってましたか?
現在では中東の産油国やアジアの一部の国でドルペッグ制は採用されています。
固定相場制とドルペッグ制
固定相場制の種類
いくつか種類があります。
- ドルペッグ
- 通貨バスケット
- カレンシーボード
通貨バスケット制
ドルだけでなく、いくつかの通貨レートの平均値と連動させます。
ロシア、マレーシア、シンガポール、ジンバブエ、中国のような国が採用しています。
$だけの連動する体制では他の貿易相手国とのレートが大きく変動してしまうおそれがあるので、これを緩和させるために用いられた方法です。
でも、メキシコの通貨危機やアジア通貨危機の影響で、近年は見直されつつあります。
カレンシーボード制
中央銀行が国内の自国通貨に相応の$を持つ制度。
これによって自国通貨は100%中央銀行が保有しているドルにバックアップされる形になるため、固定相場に信認がもたらされる一方で中央銀行は自国通貨の流通量に見合った額のドルの保有をしなければならなくなるため、無秩序な通貨増発ができなくなります。
ドルペッグ制
固定相場制で最も多いのがコレ。
自国通貨と$レートを連動。
2種類の方法
- 米国と金利を連動させ為替レートを安定させる
- 為替介入し、半ば強制的に為替レートを保つ
1は中東の産油国で多く採用され、2はインドや以前の中国が採用しています。
日本もかつて360円からスタートし、のちにスミソニアンレートと言われる308円の過程から1973年変動相場制に。
その後、ほぼ一貫して円は上昇し続け、日本の経済成長に対する評価により円が買われる一方で日本は以前のように輸出で利益を得られなくなるという苦しみを味わいます。
そこで輸出企業は外国に拠点を移動させ、効率的な生産体制を作り出すようになっています。
メリットとデメリット
ドルペッグ制のメリット
- 値動きが安定し、不安定な値動きを防ぐことができる
- 対米貿易の採算が安定する
- 通貨高になるような堅調なときにドルが弱い状態になると経済が有利になる
ドルペッグ制のデメリット
- 米国の政策金利と連動させるため、自国の政策金利決定の自由度が低い
- 自国の経済状況と米国の経済状況が乖離した場合、経済政策と通貨政策に影響が出る
- 自国が不況の時にドル高状態になると経済的に不利になる
ドルペッグ制はドルに自国の通貨を連動させなければなりません。
アメリカが利上げすれば、したくなくても連動して利上げせざるを得ないこともあり、経済に打撃を与えるケースもあります。
金融政策に関して自由度が低く、自分で政策を決められません。
そして、ドルペッグ制が破綻すれば一気に通貨安に。
ドルペッグ制が維持できない見込みの場合、資金引き上げにより通貨が暴落する見込みも。
香港のドルペッグ制廃止危機
2020年、中国が香港国家安全法制の導入を決定したことからアメリカが優遇を止めようとしています。
これにより、投資家達の不安を誘っています。
香港ドルはドルペッグ制を敷いており、狭く設定した中に収まるようにしています。
このため、香港国家安全法制により資金が国外へ流出する懸念がある中でも香港ドルは堅調推移しています。
もし中国共産党の支配が香港で進んだ場合、米国の香港に対しての資金の引き上げ、香港のドルペッグ制廃止が起こる可能性があり、それにより香港ドルが対米ドルで大きく下降するのではないかと市場で囁かれているのです。
ヘッジファンドにも香港の暴落が狙われていることから、FXで香港ドルに投資している方は今後のの動き、香港関連の法案に関する米中関係に関してはよく注意してトレードを行う必要があります。
まとめ
ドルペッグ制を敷いている国をトレードするときは米国の金融政策にも注目をする必要があります。
また、変動相場制への移行リスクが出てきた場合には注意を払ってトレードしましょう。
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